「タルチュフ」上演禁止の謎


モリエールの代表的戯曲「タルチュフ」。
生前の興行成績が最もよかったこの戯曲は
様々な世代・人・時代を超えて愛され続けています。
しかし、このタルチュフ、初演と同時に上演禁止を言い渡されたという
いわくつきの演劇だったのです。

ルイ14世の保護のもと、書かれたはずの戯曲がなぜ?
このコンテンツでは、「タルチュフ」の時代背景とこぼれ話を綴っていきます。



タルチュフのかかれた時代 - 太陽王ルイ14世の治世 −

ルイ14世は1638年サンジェルマン=アン=レ宮殿で誕生しました。
5才の時に父王のルイ13世が亡くなり、フランス王に即位します。
しかし、5歳の幼帝は、母のアンヌ・ドートリッシュの摂政下におかれます。
その幼年期にパリの貴族と民衆によるフロンドの乱(1648-1653)が勃発。 
首都パリで大貴族の傲慢さに傷つけられたルイ14世は
当時の屈辱を後々まで心に深く留めることになります。

1660年、22歳のルイ14世はスペイン王女マリー=テレーズと結婚。 
翌年名付け親でもある宰相のマザラン枢機卿が死去すると、自ら統治に
携わることを宣言します。 しかし、世はいまだに母后の治世。
誰も本気にする者はいません。 しかし、王は大貴族は遠ざけ、
腹心の大臣のみを集めて毎日、諮問会議を召集し、国政に励みます。




タルチュフの誕生

タルチュフは、そんな最中誕生しました。
340年前の1664年、王の宮殿で上演されたタルチュフは
即日上演禁止を言い渡されました。
その背景には、いまだに根強い権勢を誇る母后と、
母后に優遇された聖職者や信者の秘密結社「聖体秘蹟協会」の圧力がありました。
エセ宗教家をモデルにし、当時の聖職者の堕落を痛烈に批判した「タルチュフ」は
協会の不興を買ったのです。

この新作で多数の観客を掴もうと考えていたモリエールにとって、
上演禁止はかなりの痛手でした。
国王に当てた嘆願書では、その苦しい心情が綿々と訴えられれています。
しかし、その急場しのぎにかかれたのが、もうひとつの名作「ドン・ジュアン」。
真の演劇人は転んでもただでは起きない?

そのタルチュフが上演を許可されたのは1669年。
秘密結社の影の立役者であった母后が死去すると、ルイ14世は
自らの政治を推し進めます。
「タルチュフ」上演はその象徴でもあったのです。





タルチュフの時代の服装


タルチュフの舞台は、ルイ14世が王冠を担っていた17世紀。
このころの最新の服装短いズボンに、足にぴったりのタイツでした。
長ズボンは、むしろ下層民の服装だったようです。
また、音楽家の肖像画に見られるような、髪の毛の多いヘアスタイルはカツラです。
これが、やがてヨーロッパ中に広がり、その後の正装となりました。
いまでも、英吉利の法廷では裁判官の正式スタイルは
カツラを着用した昔ながらの姿です。

なぜ、カツラをするようになったかというと、先代のルイ13世に原因があります。
ルイ13世は若ハゲでした。それで、カツラをつけるようになったのですが、
王様一人がカツラをつけていたのでは、ばればれなので、
取り巻きの貴族たちも同じようにカツラをするようになったのです。


ネクタイの起源


ネクタイは、元はと言えば農民の風俗をフランスのルイ14世が
面白がって取り入れたのが始まりです。
「太陽王」と言われ「朕は国家なり」という有名な言葉を
残したルイ14世の威勢が、全ヨーロッパを覆っていた頃のことです。

宮殿を護衛する兵士、つまり近衛兵を、
ヨーロッパ各地の兵士が交替で努めていました。
その中にバルカン半島のクロアチア地方からパリへ来ていた
クロアト人の兵隊達が首に布きれを巻き付けて垂らしていました。
つまり野良仕事をするときに農夫などが首に手拭いを
ひっかけておくのと大差なかったクロアト兵の風俗を、
どういうわけかルイ14世が大変興味を持ったのです。
早速おかかえのデザイナーに命じて、最上等の布地でそれと同じものを作らせて、
それを自ら得意になって首に巻いて見せびらかしたもの、それがネクタイの起源です。

その後、貴族たちが一斉に王の真似をして、その布きれを
首に巻きつけはじめたわけです。
従って、フランス語では、ネクタイの事を
今日でもクラヴァーオ(クロアト人)と呼んでいます。



★ 次回は「食」をテーマにタルチュフの時代を取り上げます












































































































































































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